『』の日記

雑記です、『』といいます。音声入力で書くことがあります

こどおじからの卒業。人の寂しさに気づけなかった俺。

今週のお題「〇〇からの卒業」 

 

大学生のころ、実家から片道2時間かけて実家の奈良から京都の大学に通っていた。

 

そのころ僕が大学でやってたバイトは時給900円であり、授業やサークル活動の合間を縫って働いていたので大して稼げないし、かといって京都に住んで家賃や生活費を稼ぎながら大学に行くほどの学問に対するモチベーションもなかった。だから何となく通っていた。

 

それに加えて俺は普段から無駄なものばかり買っていて金遣いが荒く、月2,3万円あったバイト代が月の真ん中には消え失せているような始末で、給料日前にはコンビニで飲み物すら買えない有様だった。

そんな俺なので、外食はタダ飯を奢られた時か、サークルやバイトの打ち上げがあるときだけしか行けなかった。昼食代は親に出してもらうか、あるいは節約のため自分で弁当を作っていった。

 

しかしサークル活動やバイトをしていると、有難いことに食事のお誘いを頂く機会があった。

 

「『』さん、ご飯いかへん?」

 

こういった時、大学の近くに下宿している人なら「自分でご飯作るのめんどくさいから友達誘って外食いくか~」とか、「一人でご飯食べるのさびしいな~」みたいな気持ちで深く考えずに誘うものだろう。

食事の誘いを受ける人も「あぁこの人は食事を共にする相手がいなくて寂しいのかもしれないな。一緒に行こうかな?」「ちょっと腹減ったし行くか~」みたいな感じで気軽に受けると思う。

 

しかし、俺はそういったお誘いに応じることはほぼなかった。

こういった時、俺はこういうことを考えていた。

 

「この人は家に帰って食事を作るのがめんどくさいのかな?そっちの方が節約になるのにな」「でも俺2時間かけて家に帰らなきゃいけないしな」「お金ないしなぁ」

 

そういったしょうもないことを考えて断っていた。俺はそれが賢くて正しいのだと勘違いしていた。そういった調子でいるので、俺の周りにいる人たちは俺のことをあんまり食事に誘わなくなった。

 

そして年月が経ち、俺はなんとなくハロワで見つけた適当な会社に就職した。

実家から電車で40分ぐらいの位置にあり、十分通える位置にあった。

「家賃や生活費も節約できてラッキー!!お金使い放題やんけ!!」

俺はそう思って実家から職場に通っていた。23歳から28歳までずっとそうしていて、無駄遣いが激しかった割には同世代の人以上に貯金が貯まるようになった。

 

いわゆる「こどおじ」である。

 

しかし実家の住み心地が諸事情により悪くなってしまい、去年の12月から会社の近くのマンションで一人暮らしを始めた。

 

何もかもが初めてだった。

家に帰って誰もいないリビング。

聞こえてこないお母さんの小言。

聞こえてこない妹が練習する楽器の音。

聞こえてこないお父さんが帰ってきたときの「ただいま」。

勝手に出てこない食事。

家にいるはずのとりとめもない話しをする相手。

 

 一人暮らしを始めて、俺は自分の家に帰って寂しいと初めて思った。

俺にとって家に帰るということは家族がいるということで、寂しさとは場所だったからだ。

でも今は、家に帰っても誰もいない。しんとした部屋に俺がいるだけだ。

 

(察して欲しいのだがこんな感じで生きてきたため現在妻も彼女もいません。愚かですね)

 

バイクを使えば30分ほどで実家に行ける距離だとはいえ、こんなにもつらい気持ちになるとは思わなかった。

その上コロナなので他人とご飯を食べに行ったりすることは推奨されない昨今のため友人とご飯に行くこともなくなった。また今の俺は職場では特殊なシフトになり、他の人と違う時間帯で働いているため、職場の他の人と一緒に帰路を共にすることもほとんどなくなってしまった。

 

今の俺は本当に孤独だ。SNSやインターネットがあるからある程度なんとかなっているが、このまま自分の生活がどうなっていくのか想像もつかない。このままコロナが解決しなかったら、俺はずっと一人でご飯を作って食べ続けるのだと思う。耐えられない。寂しい。

 

こんな生活を続けているうちに、大学でのことを思い出した。

「『』さん、ご飯いかへん?」

俺はご飯に誘われるという意味をようやく理解した。

あの人は寂しかったのでは?一人しかいない部屋に帰るのが嫌だったのでは?

俺にはそんなことも分からなかった、だから今その報いを受けているのかもしれない。

もうすぐ30歳になるというのにそんなことすら今まで分からなかった。人の気持ちに気付くことが出来なかった。つまらない物買って金を無駄遣いするのなんか止めて、交際費のためにある程度取っておくべきだったと今は思う。

今まで、俺は他人の好意とか寂しい気持ちをそんな感じでどれだけ無下にしてきたのだろう。

考えたくもない。思い出したくもない。

 

毎日寂しい。でも好きな家族がいる実家を出て一人暮らしを始めて、よかった。

そうでなければこんな簡単なことにも気づけないままだった。

少しは他人の気持ちに気づける人間になっただろうか。そうだといいが……。

 

次は友人を俺からご飯に誘おうと思う。迷惑にならない程度に。